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【水質有害物質特論】IV.2 カドミウム・鉛Pb排水の処理 簡単解説

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水質有害物質特論では1~17章で出題傾向が明確にあります。
出題傾向の記事は下の記事をご参照ください。

1~17章において、ほぼ毎年出題される章があります。
今回解説する2章のカドミウム・鉛Pbの処理もほぼ毎年出題されます。
(平成28年からは毎年出題されています。)

そこで、本記事で内容を理解し、公式の本で詳細を読み込むことをオススメします。
(※あえて内容を省いているところがあるので、ご注意ください。)

2章の内容

2章の内容はカドミウムと鉛の排水方法についてですが、
カドミウムと鉛の性質についての問題も出題されるので注意しましょう。

問題はほぼすべての範囲から出される傾向にあります。

そのため、この記事では公式本と同じように

  1. カドミウム・鉛の性質・特徴
  2. 処理法1(共沈法)
  3. 処理法1’(置換法)
  4. 処理法2(硫化物法)

の順でご説明します。

カドミウム・鉛の性質

カドミウムの性質

カドミウムの処理方法は基本的に水酸化物法で容易に取り除くことができます。
(水酸化物法はこちらで解説しています。)
【水質有害物質特論】IV.1 有害物質処理技術の概要 簡単解説

しかし、カドミウムの性質として錯体を形成しやすいという特徴があります。
そのため、アンミン錯体やシアノ錯体といった安定な錯体を形成します。

また、キレート剤である有機酸(くえん酸、酒石酸)やEDTA(エチレンジアミン四酢酸)とのキレート錯体は非常に安定で水酸化物法で処理することは困難です。

なお覚える必要はありませんが、アンミン錯体などの普通の錯体とキレート錯体の構造の違いを下図に記載しておきます。

鉛の性質

鉛の性質で覚えておいた方が良いことは両性ということです。

水酸化物法はpHを高くする方法ですが、鉛はpHが8以上で水酸化錯イオンを作って再溶解するという特徴があります。

また、カドミウムとは異なり、鉛は2価と4価の化合物があります。
なお、2価の方が安定で、排水中でも2価で存在します。

そして、カドミウムともう一つ異なることがアンモニアと錯体を形成しない、つまりアンミン錯体を形成しないということです。
ただし、それ以外の錯体は形成します。

処理法1(共沈法)

カドミウム、鉛の排水処理には共沈法が効果的です。
(共沈法についてはこちらで説明しています。)
【水質有害物質特論】 攻略法 【戦略編】

カドミウム排水には塩化鉄(III)(FeCl3)または塩化亜鉛(ZnCl2)が、鉛排水には塩化鉄(II)が使用されます。

共沈法を使用することで理論値よりも低いpHから沈殿が始まり、理論値よりも多く排水を処理することができます。

処理法1’(置換法)

カドミウム、鉛の排水は主に水酸化物法、共沈法で処理します。

しかし、キレート剤によりキレート錯体が形成されている場合、水酸化物法および共沈法で処理することはできません。

このキレート剤が含まれている排水には置換法を適用します。
(置換法の説明はこちらでしています。)
【水質有害物質特論】IV.1 有害物質処理技術の概要 簡単解説

置換法ではMg塩法とFe+Ca塩法の二つの種類があります。

基本的にはFe+Ca塩法の方がMg塩法よりも適切です。
ただし、鉄Feの処理も同様に行う場合にはMg塩法が適切です。

処理法2(硫化物法)

カドミウム排水の硫化物法による処理法も問題として出題されます。(平成29年問3(5))

カドミウムの硫化物法による処理では硫化ナトリウムで硫化物を形成します。
その際、鉄塩も併用されることを覚えておきましょう。

また、pHが中性で重金属を低濃度まで処理できます。

まとめ

カドミウムと鉛の性質および処理方法についてご紹介しました。

カドミウムと鉛の性質
  • どちらも錯体を形成する
  • カドミウムと異なり鉛Pbはアンモニアと錯体を形成しない
  • 鉛は両性でpH8以上で水酸化鉛が再溶解する

 

また、処理法として共沈法が使用されます。

  • カドミウムは塩化鉄(III)、塩化亜鉛
  • 鉛は塩化鉄(II)

が使用されます。
共沈法を使用することで理論pHよりも低い濃度で沈殿し、処理量も多くなります。

 

キレート剤が含まれている場合は置換法が用いられます。
基本はFe+Ca塩法が使用されますが、鉄Feの処理も考えるとMg塩法が適しています。

 

そして、もう一つの処理法である硫化物法です。
硫化ナトリウム鉄塩が併用されます。
pHが中性で低濃度まで処理することが可能です。