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【水質有害物質特論】IV.5 ひ素排水の処理 簡単解説

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水質有害物質特論では1~17章で出題傾向が明確にあります。
出題傾向の記事は下の記事をご参照ください。

1~17章において、ほぼ毎年出題される章があります。
今回解説する5章のひ素排水の処理もほぼ毎年出題されます。
(平成30年を除いて毎年出題されています。)

そこで、本記事で内容を理解し、公式の本で詳細を読み込むことをオススメします。
(※あえて内容を省いているところがあるので、ご注意ください。)

5章の内容

5章の内容はひ素排水方法についです。
処理法はベーシックな共沈法で処理されます。
また、吸着法も用いられます。

ひ素排水処理の特徴はまず価数です。
ひ素はひ素(III)とひ素(V)の二種類があります。

また、ひ素(V)の方が共沈処理が容易です。
そのため、ひ素(III)をひ素(V)に酸化する工程が共沈法の前に行われます。

しかし、吸着法ではひ素(III)の方が吸着量が多いという相違点があります。

このように、価数によって処理のしやすさが変わるため気を付けるようにしましょう。

ひ素(III)をひ素(V)へ酸化する方法

先ほども述べたように、ひ素(V)の方がひ素(III)よりも共沈処理が容易という特性があります。
そのため、ひ素(III)をひ素(V)に酸化する必要があります。
なお、排水中ではひ素は亜ひ酸イオン[AsO33-(III)]またはひ酸イオン[AsO43-(V)]として存在しています。

酸化方法はいたって単純です。
濃硝酸あるいは塩素やオゾンによって酸化されます。
また、次亜塩素酸ナトリウムでも酸化されます。

ただし、空気による曝気処理では酸化は困難です。

共沈法

ひ素を含む排水は、さまざまな金属イオンを含有することが多いです。
そして、重金属とひ酸は難溶性塩を生成するため、pH調整のみで共沈処理されます

しかし、ひ素を主体とする場合は共沈剤の添加が必要となります。
ここで、共沈剤は主に鉄(III)塩が使用されます。
(アルミニウム塩は共沈処理効果が鉄(III)塩と比べると低いため適していません。)

共沈処理で気を付ける点は最適共沈pHです。

最適共沈pHは4~5と酸性側となっています。
過剰な鉄(III)塩を添加すればpHは3~7に広がります。

また、カルシウム塩と炭酸ナトリウムで共沈する手法もあります。
この場合、最適共沈pHは10.5以上と高アルカリ性となります。
高アルカリ性で処理するため、重金属を同時に処理する場合に有利となります。

吸着法

吸着法が適用される場合もあります。

しかし、他の元素と異なり、活性アルミナ活性炭を使用することは適していません。
その理由は、ひ素に対して選択性がないため、吸着量が低くなるからです。

そこで、ひ素の吸着法にはセリウム系キレート樹脂が用いられます。
ここで注意したいのがひ素の価数です。
吸着法の場合、ひ素(III)の方が吸着能力が高くなっています。
よって、酸化処理が不要となります。

なお、キレート樹脂は効果なため、低濃度向け排水か高度処理としての適用が一般的となります。

まとめ

ひ素の処理は

  1. ひ素(III)をひ素(V)にし、
  2. 共沈法で処理、
  3. あるいは吸着法で処理という手順になります。

酸化方法の種類は以下となります。

  • 濃硝酸
  • 塩素やオゾン
  • 次亜塩素酸ナトリウム

酸化処理が完了したら、共沈法で処理します。

共沈法では基本的には鉄(III)塩で共沈処理します。
最適pHは4~5と酸性側となります
また、過剰な鉄(III)塩を添加することで最適pHは3~7まで拡大します。

一方、カルシウム塩、炭酸ナトリウムで共沈処理する方法もあります。
こちらは最適pHが10.5以上と高アルカリ性側となります。

 

また、吸着法も行われます。
しかし、活性アルミナや活性炭は適しません。
セリウム系キレート樹脂が適用されています。
共沈法と異なりひ素(III)が吸着量が多いことに注意しましょう。