現在大学で研究を行っている学生は、多くの方が製造業などの理系の会社に就職すると思います。
技術系で採用された社会人には一つの指名が与えられます。
それが、特許です。
とくに、基礎研究や製品開発などの研究職に就く人にとっては特許は切っても切り離せない関係です。
この記事では特許の重要性や意味、そして特許を書くことで得られる収入についてご紹介したいと思います。
特許とは
特許とは、一言でいうと排他権です。
この意味についてご説明します。
どうすれば特許がとれる?
そもそもどうすれば特許を取れるかご存知でしょうか?
特許とは発明に与えられる権利です。
以下で例を交えてご説明したいと思います。
あなたが世の中になかった発明をしたとします。
その発明が素晴らしいものだとすればあなたに大金が入ってくるのは容易に想像できます。
しかし、それだけ素晴らしい発明なら他の人もマネをしてきます。
しかも、他の人はマネをするだけなので、あなたがその発明を生み出すために必要だったお金を使う必要がありません。
ということは、当然他の人はあなたの発明をあなたよりも安く提供できるようになります。
納得できませんよね?
こういった状況を防ぐために特許があります。
もしあなたが特許を取っていなかったら、他の人があなたの発明を利用しても止めることは出来ません。
あなたにその権利が無いからです。
ですが、もしあなたが特許を取っていれば、あなたの発明を利用している人に対して、利用を止めさせることが出来ます。
さらに、あなたの発明を利用して得た分の収益を得ることもできます。
まとめると、特許とはあなたの権利を使用して良いのはあなただけという権利、つまり初めに言った排他権という訳です。
なんでも特許にできる?
すべての発明に対して特許が取れる訳ではありません。
まず、世の中の不都合を解消する必要があります。
世界であなたしか困っていないことを解消する発明は特許になり得ません。
次に、すでに知られていることは特許になりません。
論文に書いてある発明で、特許になっていないということが多々あります。
この発明を特許化しようとしても特許として認められません。
理由はすでに論文として大多数の人に知られているからです。
一度世の中に出た発明は特許にならないので、学会など社外で発表する場合は気を付ける必要があります。特許になりそうな発明を発表してしまうと、もう特許化できなくなるからです。
その他、重力の発見といった自然現象の解明は特許にならないなど、特許化できないものは色々あります。
特許の重要性
特許は会社にとって非常に重要な問題です。
以下でその重要性についてご説明します。
類似技術の排除
特許は排他権であると述べました。
この排他権が非常に重要です。
会社は莫大なコストをかけて新技術を開発します。
そのため、他社にマネをされると価格の暴落など多大な損害が生まれます。
また、類似技術を排除しやすくなる、ということもメリットです。
あなたが新技術の特許を取得したとします。
他者があなたの技術を少しだけ変えた技術を開発し特許の申請をしたとします。
この場合、他社の特許が認められない可能性が高くなります。
それは、あなたの特許があるため、簡単に思いつくことが出来るからという理由です。
このように、特許を得ることで他社が似たような技術を作ることが出来ないというメリットがあります。
この状況は他社にとっては非常に痛手です。
取れる選択肢が狭くなり、技術開発が遅れ、市場のシェアを奪うことが難しくなるからです。
ライセンス契約による利益獲得
他者がどうしてもあなたの特許が必要な場合があります。
その場合、他社とあなたでライセンス契約というものを結ぶことができます。
これは、あなたの特許にある技術を他社に使わせる代わりに、その他社からお金が得られるという仕組みです。
契約内容にもよりますが、あなたが働かなくてもお金が得られるので不労所得のようになります。
技術力のアピール
特許の数は技術力のアピールにもなります。
単純に考えて、特許の数が多いということは新たな技術を生み出す力を持っているということです。
つまり技術力が高いということを定量的に示すことが出来ます。
これは外へのアピールに使うことが出来ます。
研究職の責務
製造業などでは新たな製品を開発する職種がいます。
研究職といういわれる人たちです。
特許を得ることはこの研究職の責務だと考えています。
理由としては単純です。
研究職の仕事は新たな技術を作り出すことだからです。
そして、新たな技術を生み出した以上、会社の利益のために特許を取得することは、研究者の責務であり使命だと考えています。
社員が得られるもの
特許を得ることは仕事ですが、多くの会社では報酬が出ます。
例えば、特許を1件出すごとに数千円がもらえるなどです。
また、出した特許の商品が売れるたびにいくらかのお金がもらえることも珍しくありません。
もし、莫大な金額を生み出す商品を開発したならば、その報酬金だけで暮らせる可能性もあります。
(有名なオプジーボや青色LEDは莫大な報酬が出ています。報酬が足りないということで裁判になっていますが・・・)
とはいえ、さすがにそれほど大きな特許を書くことはほぼ出来ないので、特許1件当たりの報酬は数千円と考えるのが妥当でしょう。
まとめ
特許は、発明した技術を他の人に使わせないための独占権であり、排他権です。
特許を取ることで、他社があなたの開発した技術を使えないため優位に立つことが出来ます。
そして、研究職の仕事は新たな技術を作ることなので、特許を得ることは重大な責任となります。
また、特許を得ることで報酬がもらえます。