2019年10月に映画【ジョーカー】が公開されました。
この映画はバットマンの最大の宿敵であるジョーカーがどのようにして誕生したのかを描く物語です。
非常に良い作品でもあり、また影響を受けやすい人にとっては危険な作品でもあります。
以下で詳細を述べたいと思いますが、これから観ようと思っている場合は心が動じない時に観ることをオススメします。
精神が不安定なときに観ると、影響されすぎる恐れがあります。
作品の紹介
先ほども述べましたが、【ジョーカー】はバットマンの宿敵であるジョーカーが誕生する話を描いています。
物語の舞台は貧富の差が激しい町、ゴッサムシティです。
ゴッサムシティの下層で暮らす主人公アーサーはピエロの仮想をしてイベントを手伝うことで生計を立てています。
アーサーには発作的に笑ってしまうという精神病がありました。
そのため、急に笑うアーサーを人々は気味悪がったり、からかったりします。
ある日、ピエロの仕事をこなしていたアーサーは重大なミスを犯しその場で首を告げられます。
人の少ない電車でうなだれていると、酔った三人の男が女性にちょっかいをかけています。
女性に相手にされない男たちを見て笑うアーサーに対し、男たちは詰め寄ります。
そして、アーサーはとっさに男たちを撃ち殺します。
男たちを殺したことを理解してとっさにトイレに逃げ込むアーサー。
そこで、アーサーは自分の感情に気が付きます。
ここからアーサーは自分の感情を開放し、感情のおもむくまま行動します。
そして、アーサーはジョーカーとして街を混沌におとしいれるのです。
音楽のすばらしさ
この作品を鑑賞した感想の一つ目に音楽による恐怖と混乱があります。
この作品における音楽は、ときにジョーカーの心情を表し、ときに観客の不安をあおる音を放ちます。
物語はジョーカーの笑い声とともに不安を誘う音から始まります。
この段階で、この作品が普通の作品とは違うことが感じ取れるのですが、
さらに、作中ではジョーカーが初めて人を殺した後にゆったりとしたダンスを踊ります。
このダンスと一緒に流れる音楽が、なぜそんな気持ちでいられるんだと不安をあおります。
ジョーカーの行動は観客の不安をあおる行動ばかりなのですが、音楽がその不安をより増大させており、重要な役割を担っています。
主演による圧巻の演技
そして、この作品で外せないのが主演の演技です。
今作品におけるアーサー(ジョーカー)は突発的に笑ってしまうという精神病を患っています。
しかし、観るとわかりますが、アーサーの笑い方は常に泣きながら笑っているようです。
まるで悲しみを隠すかのように笑います。
その表現の仕方が非常にうまいです。
たしかに口は笑っています。
しかし、目を見るといつも泣きそうなのです。
そして、彼が笑う発作を起こすときは、その前に不安な時や、悲しいこと、彼に対して攻撃的なことが起こった時だけです。
その笑いが本当の笑いに変わるきっかけが殺人です。
電車の中の男三人を殺したあとからアーサーの笑いは次第に変わってきます。
泣くような笑いから、なにもかもを投げだしたような、本当の笑いえと変貌していきます。
その移り行くさまが非常に上手に演じられています。
また、アーサーは父親が逃げており、父親というものに接してきませんでした。
しかし、富豪であるトーマス・ウェインが父親である可能性から彼にやさしさを求めるシーンではアーサーの隠していた心の叫びがあらわになります。
そして、アーサーが過去に共演し、息子のように接してくれ、憧れている有名な司会者に利用されるシーンがあります。
このシーンでアーサーはジョーカーとして司会者の番組に出演し、アーサーを利用した司会者を殺害します。
殺害する際にアーサーは憧れていた人から裏切られたせいなのか、父親のように想っていた人を殺害するせいなのか、非常に複雑で泣きそうな、感情を爆発させた表情で司会者を射殺します。
この絶妙な表情がアーサーがただの快楽殺人者ではなく、人間であり、この殺害によりジョーカーが完成したのだと思わせてくれる演技でした。
まとめ
貧困層で育ったアーサーがいかにして、自分の感情をあらわにし、ジョーカーとして完成していくのかを手稲に追った作品です。
主演のホアキン・フェニックスの見事な演技と観客を煽ってくる音楽の相乗効果により、観ている最中から不安定な精神状態になるかもしれません。
心が安定した時に観ることをオススメします。