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大学と企業の研究は違う?

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こんにちは。卑屈な化学者です。
今回は大学と企業で研究の仕方などがどう違うかを書きたいと思います。

安全

大学と企業でもっとも違うのは安全です。
最近は大学でも気を付けていると思いますが、やはり企業はより気をつけています。

特にけがをした場合は要注意です。
大学では多少の切り傷やすり傷などは出来ても自分で処置して放置だと思います。
しかし、企業では仕事によるけがは全て労災になります。
そして、もし仕事でけがをして会社に届け出ずに病院に行き、保険証を使った時点で労災隠しという法律違反になります。

労災隠しが生じた場合、企業にペナルティがあるのはもちろん、労災隠しを行った本人も企業から罰が下る可能性があります。
そのため、会社員はけがなどに非常に神経質になっております。

また、工場などでは災害のスケールが大きくなるケースが少なくありません。
工場では高濃度のガスを取り扱っていたり、高電圧の電気が流れていたり、
さらに、ローラーなどの回転物があります。

ガスによる事故としては、一酸化炭素などが漏れており気づかず一酸化炭素を吸ってしまい窒息死するというケースです。御存じの方もいると思いますが、一酸化炭素は臭いも色もないためその存在に気づくことは出来ません。予防法としては酸素濃度計を身に着けることですが、この濃度計を身に着けずに窒息死するケースがいまだにあります。

電気の事故もあります。配線関係の工事をする場合、感電を避けるために電気を止めるのが普通ですが、相互確認の不足などで、間違えて電気を流してしまい感電により重大な怪我や最悪死に至ることがあります。

そして、最後に回転物による事故です。工場の回転物は非常に馬力があり、例えば回転物に軍手などが引っ掛かった場合、高確率で腕が巻き込まれ非常に痛ましいけがを負うことになります。
回転物に対して気を付けなければいけない点は、回転速度です。非常に高速で回転する回転物に触れようとする人はいないと思います。問題はゆっくり回転している回転物です。ゆっくり回転しているため、触れても問題ないだろうと思い、回転物に触れた結果巻き込まれる事故が多くなっております。
そのため、今後回転物が身近にある状況で働くばあいは、回転物には絶対に触らないようにしてください。

このように、労災や重大事故になりやすいといったことから企業は非常に安全に神経を注いでおります。

テーマ

大学の研究テーマは終わりがない、あるいは数年以上かけて遂行していくものがほとんどだと思います。
一方、企業の研究テーマは基本的に短期間で終わるものが多いです。
もちろん、10年単位で成果を出す研究テーマもありますが、この場合もそのテーマに専念するのではなく、長期間の研究テーマをやりつつ、短期間で成果が出る研究テーマを並行して行っていくことが通常です。
また、大学では基本研究テーマは一つだと思いますが、企業では複数の研究テーマを持つことが珍しくありません。
そのため、どのような力の配分でどの研究を進めるかを考える必要があります。

そして、研究計画をしっかりと考える必要があります。
大学では実験は自分でやっていたと思います。
しかし、大学では実験は自分でやらずに一般職の方に任せたり、外注することがほとんどです。
そのため、いつ結果がでるのかを考え、どのような実験を行うのかを事前に考えておく必要があります。

資金

資金も大学と企業ではことなります。
企業では研究にお金をかけており、設備の購入などは大学よりもしやすいと思います。
また、実験道具の購入や実験設備の改造など研究を促進させるためなら資金の投入を惜しみません。
さらに、上述したように外注など他者に実験を頼むことが出来るためいろいろな実験データを集めやすいというメリットがあります。

対外発表

大学の義務の一つに論文の投稿があると思います。
大学で得た発見や知識はその研究室の発展や大学の発展のためにも、論文としてまとめられ発表されます。
一方、企業で得た発見や知識は、最初から外部に発表されるということはありえません。
まずは特許化されます。あるいは、非常に重要な情報の場合は特許にすらされず会社の中から出されないようにされます。
そして、特許化されたのちに、対外発表のために論文の投稿がなされたり、学会などで発表されます。
つまり、大学でもっとも優先される対外発表は企業にとっては二の次ということになります。

以上、大学と企業の研究の違いでした。企業で研究をするか迷っている方の助けになれればと思います。