前回の記事ではスライドを作成する際の基本事項をご紹介しました。
まだ読んでない場合はこちらからどうぞ。
今回は、スライド作成を含めたプレゼンの注意事項についてご紹介します。
重複するところもあります、ご容赦ください。
スライドについて
まずはスライドについての注意事項をご紹介します。
スライドの比率
最近のスライドは比率が16:9が標準となっています。
しかし、一般に使用されるスクリーンは正方形です。そのため、標準状態のスライドを用いると横幅をスクリーンに合わせるので、縦方向が狭くなります。これでは使用できるスライドの面積が狭く、文字が小さいなど見にくいスライドになってしまいます。
そこで、スライドを作成する前にパワーポイントの「デザインタブ」にある「スライドのサイズ」をクリックしましょう。すると、「標準(4:3)」というボタンが出てくるはずです。これを選択するとスライドサイズが正方形に近くなり縦方向をしっかりと使うことが出来ます。
フォントサイズについて
フォントサイズは難しい問題です。それは会場によって変わるからです。しかし、基本は教室の規模で発表をすることが多いと思いますので、ここでは教室で発表を行うと想定します。
経験上、教室で発表を行う際は最小フォントサイズは18ポイントです。
このサイズ以下は読むことが出来ないと考えた方が良いでしょう。
また、出来るなら本文に使用するサイズは22~24ポイントがオススメです。
このサイズならどこからでも読むことが出来るはずです。
本文のフォントサイズを決定したら、そのサイズを軸に、タイトル、見出し、強調時の文字サイズを決定しましょう。前回の記事でも言及しましたが、統一感は重要です。
なお、たまに補足でまったく読めないサイズで文を書いている人がいますが、オススメしません。
引用元の提示などは仕方ないですが、読めない文字は聞き手側の思考の妨げとなるので止めましょう。
フォントの種類について
フォントの種類は何を使っていますか?
明朝体を使っていたりしないでしょうか?
明朝体を使っている場合は止めた方が良いでしょう。
フォントの種類もスライドを見やすくするための重要な要素の一つです。
フォントには大きく二種類あります。セリフ体とサンセリフ体です。明朝体とゴシック体と言った方が分かりやすいかもしれません。セリフ体、サンセリフ体は英語に、明朝体、ゴシック体は日本語に対応しています。
セリフ体や明朝体は論文などの文字を読む媒体には綺麗で適していますが、スライドなどの見る媒体では線が細く見にくくなります。一方、サンセリフ体やゴシック体は線の太さが統一されているため見やすいという特徴があります。
サンセリフ体の代表はArial、ゴシック体はメイリオです。
ひとまず、上記のフォントを使用すれば視認性に問題はありません。
フォントの色について
フォントの色はあまり使いすぎないようにしましょう。
基本は黒です。そして、強調したい場合に色を変えます。しかし、色を使いすぎるとどの色が何の意味を持つのかが分からなくなります。そこで、使用する色は黒を含め3色以内が良いでしょう。
例えば、基本は黒で強調したい場合は赤。または、増加は赤、減少は青です。
そして、スライド中で色を変える場合は出来るだけ少なく(出来れば一か所だけ)します。
そうすることで、色を変えたことによる違和感が強調され、重大性が伝わるようになります。
グラフの軸について
グラフを作成する際、デフォルトの軸にある数値のサイズは小さすぎるので大きくしましょう。上記のフォントサイズで述べたように見えなければ意味がありません。また、その数値が何を意味しているのかを示すためにも軸の説明や単位は必ず記しましょう。これが無い場合、そのグラフには何の意味も持ちません。
スライドの情報量について
スライドに情報を詰め込みすぎる人がいます。
これは止めましょう。
スライドに図やグラフを入れすぎると聴衆はどこを見れば良いか分からなくなります。
その結果、理解することを放棄するか、プレゼンターの話を聞けずプレゼンの内容を理解できなくなります。
スライドの情報が多くなる理由としては、「とりあえず」の感覚で情報を入れることが挙げられます。
とりあえずこれを入れよう、あれも入れようと考えるのです。情報が多ければ頭よさげに見えますし、色々やっている感を出せます。しかし、理解されなければ意味がありません。
スライドの情報量を適正にする方法は単純です。説明しない情報は全て削除すれば良いのです。そして、削除した情報は補助スライドに準備しておきます。
それだと、情報が少なすぎる!という人もいますが、もっと知りたいと思う人のためにプレゼンの最後に質疑応答が設けられているのです。
ですから、勇気を持ってバッサリ要らない情報は削除しましょう。
スライド内の文字について
スライドに文字ばかり書いている人も良く見かけます。
これも悪い一例です。
よく言われることは、「スライドは読むものではなく見るもの」です。
スライドに文字ばかり書いてあると、まず初めに理解することを諦めます。読むのが面倒くさいからです。
また、先ほどから何度か言っていますが、読むという作業が入るとプレゼンターの言葉を聞きません。その結果、内容を理解することが出来なくなります。
スライドには文章ではなく、単語やフレーズを書くようにしましょう。そして、出来るだけ言葉を減らしましょう。言葉を減らすことで、スライドに書かれた言葉が強調され、意味が重くなります。
プレゼン方法について
次はプレゼンをする際の注意事項についてご紹介します。
話す速さ
人は緊張すると心拍数が上がり、時間の流れを早く感じます。
そのため、プレゼン中にいつも通り言葉を発していても、実際はかなり早く話していることが普通です。
また、プレゼンターは聞き手の理解力を高く見積もる傾向があります。しかし、人のプレゼンを聞くと分かりますが、他人の発表内容を完全に理解することは非常に難しいです。まして、プレゼンターが早口であればなおのこと理解するのは困難でしょう。
したがって、プレゼン中は意識的にゆっくり話しましょう。ゆっくり話すことで、聞き手側はプレゼンターの言葉をクリアに聞くことが出来ますし、思考の余白が生まれるためプレゼン内容の理解が促進されます。目安として、アナウンサーが話す速度である1分間に300文字を挙げられますが、個人的にはもっと遅くても良いと思います。少なくとも、よほど強調しない限り遅すぎるということは無いと思います。
話し方
話し方も重要です。
滑舌の良し悪しは生まれ持ってのものなので仕方ないですが、出来るだけハッキリと堂々と話しましょう。
自身が無い人が良くぶつぶつと話しますが、プレゼンである以上聞き手に伝わらなければ意味がありません。その場に立った以上は諦めて、ハキハキと話すようにしましょう。そのためにも、口をある程度開けながら話しましょう。口を閉じたままだと聞き取ることは出来ません。
プレゼンの際の視線
話し方にもつながりますが、プレゼンをする際は聴衆を見ながら話しましょう。
意識しないとスクリーンを見ながら説明してしまいますが、スクリーンを見ながらだと当然声はスクリーンに向かっているため、聞き手はよく聞き取ることが出来ません。しかし、聞き手を見ながらだとポインターを適切な位置に指せないと思うかもしれません。ポインターを使う必要がある場合は、一度スクリーンにポインターを指してから話始めるようにしましょう。また、その際ポインターは指した場所から出来るだけ動かさないようにしましょう。ポインターをくるくる回す人が多いですが、うっとうしいですし、無意味なポインターの動きに目がつられてやはりプレゼン内容の理解を妨げることにつながります。
以上がプレゼンをする際の注意事項になります。
一回ですべてを覚えることは難しいと思いますので、何回も繰り返し確認して頂ければプレゼンが上達すると思います。